シュー・ヤマモトによるパロディ「キャット・アート」
名画と猫の融合
「キャット・アート」は、世界の名画の数々に登場する人物を猫にした、いわば「パロディ絵画」です。
日本人のイラストレーター、シュー・ヤマモトによって発表されると、美術愛好家や猫好きの間で、一躍注目を集めることとなりました。
どの作品も、元の名画を忠実に再現しています。
その中の人物が猫(召使いなどの一部は「ワンコロ召使い」と呼ばれる犬)に置き換わっているだけで、なんだかホッコリさせられ、同時にクスッと笑みがこぼれてしまうような、かわいらしさも感じられる作品に変身しています。
「オダリスク」
出典:https://creatorsbank.com/shuyam/works/72682
「オリンピキャット」
出典:https://creatorsbank.com/shuyam/works//72674
このような、人間だとセクシーで目のやり場に困ってしまうようなポーズの裸婦も、猫に変わっただけで、見事なまでにかわいくなってしまうのだから不思議です。
シュー・ヤマモトについて
シュー・ヤマモト(1948〜)は、神奈川県横浜市出身で、愛知県立美術大学を卒業後、カナダ移住を経てアメリカの永住権を得た、フリーランスイラストレーターです。
古今東西の名画に猫を融合させた作品の制作を始めたのは、2007年の秋からでした。
有名画家「フェルメール」の全作品37点を、全て猫バージョンに描いた画集「フェルネーコ」が2015年に発行されましたが、その他にも「落ち穂拾い」ならぬ「マタタビ拾い」、「ドガの『踊り子』」ならぬ「ドラの『踊り子』」などの名画のパロディを数多く発表しています。
現在は「モリー」「ネコ」という2匹の猫とともに生活しながら、イラストレーターとしてのみならず、旅行業、翻訳業など、多彩な活動をされています。
画集「フェルネーコ」は、フェルメールが20年ほどかけて描いた37枚の絵を、たった1年あまりで描き上げたとのことで、さすがのヤマモト氏も食傷気味になったとのことです。
かわいい「あの猫名画」の紹介
「フェルネーコ」の他にも、シュー・ヤマモト氏の作品には、誰もが知っている「あの名画」の猫バージョンが数多くあります。
その中から、筆者のイチオシの作品を1点ご紹介致します。
「ニャンクの『叫び』」
出典:http://tokyotheater.net/
この作品は、「ムンク」の「叫び」を元にした「ニャンク」の「叫び」です。
「ムンクの『叫び』」
出典:Wikipedia
元々のムンクの作品の中心に描かれた人物は、叫んでいるのではなく、「自然の果てしない叫び」に対して耳をふさいでいる姿を描いたものです。
しかし、「ニャンク」の「叫び」は、猫の耳が頭の真上に付いていることもあり、この位置だと手が耳に届いていないことになります。
もしかしたら「ニャンク」の「叫び」の猫は、自分の手(前足)が耳に届かないことに気付き、それに対して困惑し、叫んでいるのかも知れませんね。
本猫はとにかく真剣なのでしょうが、やはりこの絵も、猫のそんな必死な姿になんだかほっこりしてしまいます。
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