【インタビュー】けいこくの森動物病院(東京都世田谷区)

動物病院特集

今回は東京都世田谷区の東急大井町線「等々力」駅にある『けいこくの森動物病院』さんにインタビューをさせていただきました。インタビューにご対応いただいた豊田院長は全国でも珍しい『動物の歯医者』として主に活動されています。歯についての勉強のしにくさなどもありながら人間の歯の勉強会に参加されたり海外の研修を受けるなどをしており、数々の修了証なども取得されているとても信頼できる先生です。時には獣医師志望の学生向けに獣医師代表としてセミナーにご登壇もされ、幅広く活動されています。(取材日:2022/04/23 現在は記載している情報と異なる場合がございます。)

全国1%の珍しい『動物の歯医者』

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ーけいこくの森動物病院とはどのような病院なのでしょうか?

当院は「歯科」の部分に力を入れている全国でも珍しい動物病院です。専門の機材、例えば歯科用のレントゲンとかを設備として持って正確な診断をする動物病院は全国で1%あるかないかくらいだと思います。
病気としては人間と同じ様に歯周病などが一番多い病気になるので、私はそれをできるだけ治せるように取り組んでいきました。
大学での勉強や獣医師の国家試験などでも歯科の分野が扱われることはほとんどないので、地道に努力してきました。

歯周病予防などをしっかり推奨しているところは珍しく、当院はそこが強みとしてあります。
多い病気なのにも関わらず力を入れている動物病院がないという矛盾をどうにかしたいと思い、この道に進みました。
大学でも歯科を教えられる先生がそもそもいないという現状もあり、まだまだ動物の歯医者さんとして活動できる病院も少ないです。

大学在学中では歯の勉強はほとんどできませんので、卒業してから個人的に研究会などに所属したり、海外の研修を受けるなどで学んできました。

また勉強会に参加するだけでなく、獣医師志望の学生や開業したい方などに向けてセミナーを依頼されて行なったりもしています。動物病院業界に対しての社会貢献活動も幅広く取り組んでいます。

ー診療の際に心がけていることはありますか?

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当たり前のことにはなりますが、「動物たちに優しく飼い主様にも優しく」の精神は常に持って診療を行っております。
なるべく分かりやすい言葉で詳しく伝える、というコミュニケーションの部分も気をつけています。飼い主様とのトラブルに関わるだけでなく、最善の治療ができなくなってしまうので普段の状態のヒアリングと、治療法のご提案などを最良のものにするためにも会話がしやすい雰囲気作りに努めています。
分かりにくそうなものであれば、紙に書いてお渡しすることもします。

また診療の前などには、犬は診察室にしばらく放してあげたりしてその間飼い主様と会話をします。それを見ている犬は「この人はうちの人と仲が良いんだな」と感じてくれるので、その後スムーズに診療できたりします。
猫の場合も、抱っこしてあげたりして安心してもらってから診療を行います。

ーお客様からはどのような声が多くありますか?

猫の飼い主様に多いのですが、「他の動物病院だと猫が怒るのに、けいこくの森動物病院だと全然怒らない」というお声は時々いただきますね。人間同士も相性があるように、獣医師と動物にも相性がありますが、猫の診療の時はよっぽど怒る猫でない限りはまず初めに抱っこをしてから診療に移るという、「猫とのアイスブレイク」をするようにしています。
動物にも安心感を与えてくれないと正直な反応を診ることができない場合もあるので、工夫しています。
抱っこしてしばらく撫でて、ということをすると猫も落ち着きますし飼い主様も落ち着きますね。そうすると我々としても診療がしやすくなります。

ー歯科の勉強はどのようにされるのですか?

いまは動物の歯科勉強会だけでなく、人間の歯科医師向けの勉強会に参加したりしています。やはり同じ動物なので見習う部分も多くあります。形が違ったり、動物は虫歯がなかったりしますが歯周病は人間も動物も一緒なので勉強のし甲斐はあります。
また私が参考にしているのは歯自体の勉強もそうですが、お客様への説明の仕方や飼い主様をどうやって前向きにさせるかなども学んでいます。
今後も歯についての勉強は力をいれて行っていきます。

ー今後の展望など最後にメッセージをお願いします。

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口の中は体のなかでも病気の進行が早いという特徴がありますが、口の中に腫瘍があったりしても飼い主様が気付きづらいケースが少なくありません。
そうすると、既に転移してしまっており厳しい状況になることもあります。
逆に口の中に病気があることが、外側から見て分かる様であればすでに手遅れです。
心臓病を起こす病気として歯周病が関わっていることもデータとして分かっています。
歯周病の進行具合も個体差がありますが長生きのためにも気をつけてほしいところです。

いま欧米では「1年に1回は麻酔をかけて歯のクリーニングをしましょう」と言われています。
歯周病は色々な病気を起こしがちです。獣医師側もそうですが歯に関して言うと歯石は病気ではないのにそれだけに目が行ってしまいます。
歯周病は医者でない限り一般の方が判断するのは難しいと思いますが、ある程度判断できることとしていえば「口の臭い」です。
歯周病の子は口が臭いので、口が臭かったら歯科をしっかりやられている病院に相談してみてください。
気づいた時には歯を抜かなければいけなくなる、もしくは痛い思いをさせてしまうケースもあるので、日々の処置や飼い主様が定期的にペットの歯磨きを頑張るのが重要だと思います。

【取材者から】インタビューをしてみて

今回インタビューさせていただいた豊田院長は、歯に関する病気は中でも多いのに力を入れている病院が少ないという現状を変えるために取り組んでいらっしゃることにとても感銘を受けました。
またセミナーで登壇される機会もある先生ということもあり、説明がとても分かりやすく説得力がある先生でした。飼い主様への説明もとても分かりやすくされているのだろうと感じ取れるほどでした。
病気に関して言うと歯周病は悪化すると歯槽膿漏になり、歯が抜けてしまったり小型犬だと顎の骨折が起こったりかなり深刻な病気や怪我に繋がってしまうこともあると伺ったので気をつけなければならないと改めて感じました。
「歯は命」と人間で言われていることは動物も一緒ですので、注意深く通院することも重要です。
歯周病に関しては処置も重要ですが、いかに維持をしていくかで歯の状態を保てるので、ペットの「歯磨き慣れ」も実践していくべきだと飼い主として思いました。

病院情報

病院名 けいこくの森動物病院
電話番号 03-3704-1014
営業時間 午前:9:00〜12:00 | 午後:4:00〜7:00
定休日 なし
※土曜日・日曜日・祝日の午後は18:00まで
※12:00~16:00は手術・検査
※学会などで変更になることがありますので、事前にホームページもしくはお電話にてご確認ください。
住所 〒158-0082 東京都世田谷区等々力1-34-18
アクセス 電車でお越しの場合:東急大井町線「等々力駅」より徒歩5分
バス:東急バス「等々力駅入り口」より徒歩1分、「等々力不動尊」より徒歩3分
駐車場 2台有り(駐車場の使用は予約の方のみと限らせていただきます。敷地内へ入るよう駐車してください。)
診察対象動物 犬・猫
公式HP https://www.keikoku-ah.com/

petofuku編集部

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