【インタビュー】右京動物病院御池院(京都府京都市)

動物病院特集

今回は京都府京都市の嵐電嵐山本線「山ノ内」駅にある『右京動物病院OIKE』さんにインタビューさせていただきました。インタビューにご対応いただいた平野太陽院長は、右京動物病院本院の平野隆爾院長とご兄弟でグループ病院をご経営されています。右京動物病院には分院が3箇所あり、そのうちの2ヶ所(OIKE・SAGANO)を平野太陽院長が運営されています。外科の分野では全国の動物病院から多数紹介を受けるほどの実積をお持ちのグループ病院です。
(取材日:2022/06/30 現在は記載している情報と異なる場合がございます。)

『動物に負担の少ない優しい医療を』

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ー右京動物病院とはどのような病院なのでしょうか?

グループとしての話にはなりますが、主に「外科」に注力している動物病院として活動しています。
『CT』『腹腔鏡』『Cアーム』などを始めとする様々な医療機器を取り揃えており、外科の分野で幅広い症例の対応ができるよう体制を整えております。
また、本院院長の兄が外科認定医でもあり、開心手術(心臓を開けて行う手術)も行っております。

避妊去勢の手術も外科の分野ですが、それだけに止まらず難しい外科にチャレンジすることも地域の動物を守る上では意義のあるものだと思います。
もちろん、技術を身につける時間や、設備を整える費用も膨大なものとなりますが、一頭でも多くの命を救うためには打算的な考えは捨てなくてはなりません。

このような背景もありまして、外科に関しても全国の動物病院様からのご紹介も有難いことに多くあります。
特に脊髄軟化症、尿管疾患、心臓疾患のご紹介を頂く機会が多いです。
脊髄軟化症に関しては「救命率97%」の外科治療法を確立し、不治の病とされていた2年前までの獣医療界の常識を変えることができました。
世界初の、そして世界一の症例数を集めた論文を世界一の雑誌に掲載することができました。
ちなみに兄が筆頭著者で私は第三著者です(笑)

という事で、兄に追いつくべく私自身も、研修で他府県に足を運び、『画像診断』『腫瘍科』『整形外科』『軟部外科』などの分野に特に注力しています。
特に現在は更なる腹腔鏡の技術習得の為、他府県の先生のご指導のもと、日々研鑽しております。

ー腹腔鏡について教えてください。

まだまだ若輩者の私が腹腔鏡を語るなど恐れ多いことではございますが、簡単にご説明させていただきます。
腹腔鏡手術は獣医療界で一般的な開腹手術のように大きくお腹を切ることなく、最小限の切開でお腹の中の手術を行うことができるものです。

腹腔鏡のメリットは大きく分けて以下の2つです。

メリット①動物への負担が少ない

前述の通り、開腹手術と比べ最小限の切開で行うことができる手術なので、その分動物への負担(組織損傷)を少なくすることができます。
近年はお腹に大きな傷がある人を見ることは滅多にないと思います。これは人医療では腹腔鏡手術が一般的な手術方法だからです。

メリット②視認性が高い

皮膚を数ミリ切開し、器具やカメラをお腹の中へ挿入して、間近に臓器を観察できます。
もちろん、器具操作の鍛錬は十二分に行う必要がありますが、手技が確立できれば開腹よりも繊細な手術が実施できる場合も多いです。

ーどうして腹腔鏡の分野に興味を持たれたのですか?

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腹腔鏡を用いて多くの手術を実施してきましたが、そのメリットを実感することも多く、動物にとって有益な技術であると確信しております。
しかしその一方で、とても高度な技術と経験が不可欠な技術でもあります。
私自身まだまだ未熟であると自覚しておりますので、師匠のもとへ府外まで見学に通わせて頂いております。
世界一の技術を目の当たりにし、登る山の高さを実感しました。それと同時に、一生をかけて登る価値がある山であることも。
まだまだ動物医療では一般的ではない腹腔鏡手術ですが、少しでも多くの動物に負担の少ない高度低侵襲医療を提供できるよう、日々精進してまいります。

ー獣医になって良かったと感じる時はありますか?

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色々ありますが、やり甲斐という視点でお話すると、全科を担当できるという事です。
例えば人間の場合は癌が見つかれば腫瘍科に転科します。その先で心臓が悪いと分かれば循環器科に転科します。
このように、疾患によっては転科を繰り返すことも少なくありません。

ですが、一般臨床獣医師は一頭の動物を全分野見ることができるので最初から最後(最期の場合もありますが)まで関わっていくことができ、病気を診る」というよりも「その子を診る」ということができる事に非常にやり甲斐を感じますし、幸せに思います。

ー診療の際に心がけていることはありますか?

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「診断」「治療」の2つのことを考える必要があります。
診断に関しては最低限の検査で客観的に情報を収集し、再現性のある方法で最短で診断まで辿り着くことを考えています。
最低限の検査に抑えることで、お財布にも動物にも負担が少ない医療をご提供できますし、かかりつけ医として必須の姿勢だと思っています。
また、客観的な情報をもとに再現性のある方法を用いることで個人のスキルに頼らない画一的な診断を下すことができます。
当院にも勤務年数がさまざまな獣医師が在籍しておりますが、経験に左右されることなく、確実な診断ができていると自負しております。

また治療(検査も)に関しては、私は飼い主さんに「どうしますか?」と極力効かないように心がけています。
というのも、それを聞きたいのは飼い主様の方だと思いますので。
もちろんメリットデメリットをお伝えし選択肢をご提示する場合もありますが、自分自身の経験を交えて、ご家族と動物にとって最善の治療へお導きするよう心がけています。
その為には十分な対話が必須でAIに代替できない仕事だと感じています。

ーお客様からはどのような声が多くありますか?

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引っ張っていく診療スタイルにご満足いただけることが多いです。
上記のように、基本的には「引っ張っていく」獣医療を心がけていますので、「安心」「信頼」などのワードに関するお言葉を頂戴する機会が多い様に思います。
これは私のスタンスによるものもありますが、充実した医療設備があってこそだとも思っております。
今後も飼い主様のお言葉に耳を傾け、ご意見を取り入れながら精進してまいりたいと思います。

ー今後の展望などをお聞かせください。

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まだまだご提供したい高度医療も挙げだすとキリがありませんが、それらを安価でご提供できる病院を目指したいと思っております。
その為には、病院業以外から資本をもってくる必要があります。(もちろん技術取得のための研鑽は必須)
医療器具購入の足しにならないかと、2年前には宅建資格も取得しました。
週7勤務の中、毎日夜中まで3時間3ヶ月かけて合格しましたが、まだなんの役にも立っておりません(笑)
宝くじでも当たればよりよい設備が導入できるのに・・・
寄付お待ちしております(笑)

【取材者から】インタビューをしてみて

今回インタビューにご対応いただいた右京動物病院御池院の平野院長は、とても熱い志を持たれており、それに加えて合理的に動物たちを診てくださる先生だと強く感じました。

腹腔鏡についてのお話の中で、動物たちにより負担のない医療を届けたいという想いに感銘を受けました。
この先生に任せておけばきっと大丈夫だ、と思わせてくださる先生で、安心感があります。

動物を飼っている身として、平野太陽院長のように引っ張って行ってくださる先生の方が安心して任せられるというのは間違いないと感じます。
私たちからすると何が正しくて良いものなのかの判断が正直難しいと思います。
また右京動物病院御池院さんでは、働く方々への働きやすい環境作りにも徹底されていました。
内装の綺麗さや衣服のこだわりなどはもちろん、スタッフさんへの向き合う姿勢なども高い次元で考えられていました。

平野先生がスタッフ想いであることから院内での信頼もあり、それが満足度の高い医療の提供に繋がるとお話を聞いていて感じました。
離職が激しい動物病院であると、担当者が頻繁に変わってしまい飼い主側は不安になると思うので、その面でも徹底されていることに感銘を強く受けました。

今回インタビューをさせていただき、飼い主さんの人生や動物を最優先で常に考えている右京動物病院御池院さんが、地域の飼い主さんたちに厚く信頼されていることがとてもよく感じ取れました。

病院情報

病院名 右京動物病院御池院
電話番号 075-366-0797
営業時間 午前:9:00〜12:00 | 午後:4:00〜7:00
(日曜日午後・祝日は予約診療)
定休日 なし
住所 〒604-8444 京都府京都市中京区西ノ京月輪町28−3
アクセス 〈公共交通機関をご利用の場合〉
嵐電嵐山本線「山ノ内」から徒歩7分
京都市営東西線「西大路御池」から徒歩10分
駐車場 あり
診察対象動物 イヌ・ネコ
公式HP https://ukyo-ah-oike.com/

petofuku編集部

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