【獣医師監修】柴犬のしつけ、飼い方とは「1歳になったらどうすればいい?」

イヌのケア

身体の特徴や得意なことに合わせて、目的を持って繁殖された多くの犬種とは異なり、柴犬は日本の土着犬として古代から日本の人間社会で共生してきたと言われています。
今や日本国内だけではなく世界中の愛犬家に人気のある柴犬ですが、柴犬によくみられる警戒心の強さも度を超すと、時には飼い主と犬自身の両方の生活に支障をきたす場合があります。
柴犬とよりよい関係を作るためにはどの様なことに注意すべきでしょうか?

柴犬(子犬)のしつけ方、飼い方について

柴犬は賢く飼い主に忠実な反面、警戒心が強いため吠える・噛むなどの問題行動に悩まされる飼い主様も少なくありません。
また、1歳くらいまでに不妊・去勢手術をする犬が多いことが予想されますが、術後には体重が増えやすい傾向があるため食事管理も大切です。

柴犬(子犬)のしつけ方

しつけの目的は、人間と犬がお互いにできるだけストレスなく、安心して一緒に生活することです。しつけの方法はいくつかありますが、犬のもともと持っている性質や性格を理解することが非常に重要です。
柴犬は、番犬としても適すると言われている通り、忠誠心が強く特定の人との関係を築くのが得意な犬種とも言えます。しかし、一途な性格が故に、家族の中でもひとりだけに忠誠を誓って他の家族の言うことを聞かなくなるケース、トリミングや動物病院等で一度怖い経験をすると次回は同じことが出来なくなるケースがあります。
そのため、子犬の頃からの社会化トレーニングは非常に大切です。

社会化トレーニング

社会化とは、人間と生活するにあたり犬の周りに起こり得る色々な物事に慣れさせることを言います。
トレーニングのコツは、怖い経験をたくさんさせるのではなくお散歩中に車や自転車がそばを通っても怖がらずに歩けるようにするなど、小さなことをひとつずつ慣らしていくことです。特定のひとりだけではなく家族全員で子犬のしつけに取り組むことや、身体を触る、口を開けるなど人間に身体を触れられることに慣れさせることも大切です。
慣れてきたら口の周りや歯に触ることからスタートして、歯みがきなどのデンタルケアが出来る様にしましょう。歯周病の予防のためにはご自宅でのデンタルケアは必須ですが、成犬になっていきなり歯磨きしようとしても嫌がって出来ないことがほとんどです。
子犬の頃からデンタルケアを始めて、成犬になってもご自宅でのケアが無理なくできるように練習しましょう。

柴犬のしつけの基本

しつけの基本は、

  • ダメなことを叱って教える、犬をコントロールしようとするしつけではなく褒めて育てる
  • 犬の行動の理由を理解する

ことです。

<ダメなことを叱って教える、犬をコントロールしようとするしつけではなく褒めて育てる>

例えば、トイレトレーニングで、「失敗をして飼い主さんにきつく叱られた」という経験を繰り返すと、犬は「排泄をすることがいけないことだ」と理解し隠れて排泄するようになります。
しかし、失敗した時に叱るのではなく、トイレに上手にできた時に「褒める」を繰り返すことで犬は「トイレにうまくできたら褒めてもらえる」ということを学習し、「褒めてもらえる行動」(この場合はトイレに排泄すること)を繰り返す様になります。
この様に言葉で「褒める」以外にも、食べることが好きな犬であればフードなどのおやつ、スキンシップの好きな犬ならなでてあげるなど、愛犬が好きなことを「報酬」として活用しましょう。

<犬の行動を理解する>

家具やスリッパなど噛んで欲しくないものをかじる、道に落ちているものを食べる、甘噛みをするなど飼い主にとっては困った行動だと思うことが、実は犬にとっては本能や習性に基づく自然な行為、というケースがあります。
上記の例であれば、「犬はそもそも物をかじる習性がある」ため、スリッパなどしまえるものはしまって、家具などの動かせないものはサークルで防御する等の飼い主側の工夫が必要です。
道に落ちているものを食べようとするのも、「食べられそうなものだから食べよう」という犬の本能で、甘噛みは子犬にとっては「遊びたい!」という表現のひとつでもあります。この様な場合、その行動自体を辞めさせるというより「どうしたらさせないで済むか」という飼い主側の対策が効果的です。
具体的にはリードをコントロールする練習をする、拾い食いをしようとしたら「おすわり」の号令をかけてお気に入りのおやつを与える、手などを甘噛みさせるのではなく噛んでもよいおもちゃで遊ぶ、などです。
また、1歳くらいになると、子犬から成犬への成長の過程で学習したことを実践しようとして、今まで出来ていたことが出来なくなる等のトラブルが生じるケースもあります。困った行動が見られた場合はきつく叱るのではなく、何が原因でそうなったのかを考えてみましょう。
ご自身でどうしても解決できないと感じたら、信頼できるトレーナーさんに指導してもらうのも良い方法です。その場合は、柴犬などの日本犬のトレーニングが得意なトレーナーさんをおすすめします。

柴犬(子犬)の飼い方

犬をどんな環境で飼うかは人によって違います。一人で飼育する、昼間は家族が留守で留守番が多いなど、飼い主さんのライフスタイルに合わせたしつけを行う必要があります。
また、愛犬の生活環境を見直すことも大切です。
「夜になると吠える」という原因が、「道路に面したところにハウスがあって人が通る度に落ち着かないから」という理由であることもあります。1歳を過ぎて成犬の仲間入りをしたら、肥満に注意すること、定期的な健康診断を行うなど、愛犬が健康で快適に生活できるように心配りをしましょう。
柴犬はアトピー疾患やアレルギー疾患が比較的多い犬種なので、皮膚に影響を及ぼす可能性のある脂質の多いおやつも控えることをおすすめします。
また、柴犬の被毛は、ダブルコート(しっかりした上毛と保温や保湿などの役割をもつ下毛がある)で、春先や秋など年2回の換毛期があります。換毛期以外でも普段から抜け毛が多く、日々ブラッシングを行って余分な抜け毛を取り除き、被毛と皮膚を清潔に保ちましょう。
柴犬は、もともとは狩猟などの使役犬として飼育されていたため、家庭犬として飼育されている現在でも十分な運動量やストレス解消のための工夫が必要です。
わたしの自宅近くにも柴犬を飼っていらっしゃる飼い主さまが多くいらっしゃいます。
お話を伺うと、お散歩は一日2回、1時間~1時間半前後の長めのお散歩をしている方が多く、「散歩をしっかりすることで犬の機嫌がよくなる気がする」とのことでした。その他に「嫌だと思ったら座り込んで全く動かない」「排泄は家の中では絶対にしないので天気が悪くても外に連れ出す」など、柴犬の「こうと決めたらこうする!」という気質が表れていていると感じました。
柴犬に限らず「愛犬の個性を尊重しつつ、お互いが快適に暮らすためのルールを決める」という飼い方がお互いのストレスが少ない飼い方です。飼育環境に合わせてルールを決めていきましょう。

柴犬(子犬)のしつけのポイントや注意点

柴犬を始め、日本犬は警戒心が強い傾向があります。
さらに、成犬になっても「心は永遠の3歳児」と言われる愛玩犬と異なり、日本犬はそうではないと言われます。
その様な日本犬特有の性質から、柴犬には愛玩犬に行う一般的なしつけの方法が合っていない場合があり「柴犬のしつけは難しい」と言われる理由だと考えられます。
柴犬は自己防衛の性質が強く、「怖い」「危険だ」と思うと自分の身を守ろうとして噛むこともあります。怖がりの犬には無理強いはせず、お散歩中などに見慣れない人や犬には近づけない様にする、犬が落ち着いて診察を受けられる動物病院を選ぶなど飼い主が愛犬を守ることも大切です。
1歳前後になると、愛犬が苦手なものや怖いものもわかってくると思います。しつけでうまくいかないことがあっても、焦らずに愛犬との信頼関係を築きながら、よりよい方法をみつけていきましょう。

急な出費に備えるペット保険

ペットには、人間の様な公的な健康保険制度がありません。そのため、ペットの病気やケガの治療に支払う医療費は、すべて飼い主の自己負担です。
柴犬は、皮膚のコンディションが悪化することが多く、特に皮膚疾患や外耳炎になりやすい犬種です。前述のとおり、アトピーやアレルギー体質の柴犬も多く、皮膚炎や痒みが悪化して長い期間治療を継続する場合もあります。
状況によっては手術や長期間の通院、治療が必要になることも考えられ、それに伴いペットの医療費も高額になる可能性があります。
さらに、年齢が若くても歳を重ねてシニアになっても、病気やケガの可能性は常にあります。ご自身でペットのために日々備えるという方法もありますが、「予想もしなかった事態」に備えておくための選択肢の一つとして、ペット保険があります。
ペット保険とは、保険料をペット保険会社に支払うことで、飼い主さまが動物病院に支払う医療費の一部をペット保険会社が補償してくれるサービスです。

ペット保険の選び方

ペット保険に対して何を一番重視するかは人によって異なるため、自分と愛犬に合った保険を選ぶコツは、ペット保険会社の情報を集めて比較検討することが大切です。
また、ペット保険会社によってはペットの医療費の補償以外にも、迷子になった時に保険加入者のペットを探すサービス、しつけや病気の相談に獣医師が24時間いつでも電話相談を受け付けてくれるなど様々なサービスが付帯しているプランもあります。

ペット保険選びのポイントは?

補償内容が多ければ多いほど、保険会社に支払う保険料は高くなるのが一般的です。そのため、ペット保険を選ぶにあたって優先順位が高いのは、

  • 保険会社に支払う保険料
  • 補償内容

のバランスを考える必要があります。

保険会社に支払う保険料について

保険料は最も安いものでは月に500円~、金額が多いプランでは1万円前後です。保険会社や加入プランによって異なりますが、加入してから終身までずっと同じ保険料ではなく、保険料の見直しがあるのが一般的です。
若い時は安い保険料でも更新の度に保険料が上昇するプランや、ある程度の年齢になったら保険料が一定になるプランなど色々なプランがあります。年齢が上がるにつれて保険料が高くなり加入条件が厳しくなるのが一般的で、プランによっては加入できなくなる場合もあります。
最近ではシニア犬用(8歳~)のペット保険も増えています。柴犬は比較的寿命が長い犬種なので、将来のことも考えて情報を集めておくと安心です。

補償内容について

補償内容は保険会社やプランによって様々で、

  • 病気やケガによる通院や入院を含め手術もすべて補償する
  • 手術に関する治療費のみ補償する
  • 保険会社が補償する割合は30%、50%、70%が多い(90%や100%もある)
  • 1回の手術につき50万円を補償するなど手術に特化している

などがあります。
補償内容を選ぶポイントとしては、前述したとおり柴犬は外耳炎や皮膚疾患が多い犬種なので、何度も通院が必要になる場合も考慮し、万が一の手術の補償に加えて通院治療の補償がしっかりしているプランがお勧めです。
なお、ペット保険は「病気やケガに備える」という目的のものなので、不妊去勢手術、ワクチン接種やフィラリア予防など予防に関するものや、保険加入以前にかかっていた病気やケガについては補償対象外です。
保険会社による補償は無制限ではなく上限(支払限度額または支払限度日数・回数)があります。
また、保険料を低く設定するために、免責金額(ある一定の額までの加入者の自己負担の金額)の設定があるプランがあるので加入前には確認が必要です。

大熊 真穂

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現在複数の動物病院で臨床獣医師として勤務しながら専門知識や経験を活かして各種メディアや個人サイトでライターとして情報を発信している。 ▼ドリトルけいのいぬね...

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