猫に芸を教える方法

犬が「お座り」「お手」「待て」などの芸をする姿は、一般にも馴染みの深い光景です。
しかし、猫が芸をする姿は、ほとんど見ることがありません。
TVのペット特集などで「芸をする猫」として取り上げられることがあるくらいですから、極めて珍しい光景と言えるでしょう。
なぜ犬は芸をするのに、猫はなかなか覚えないのか?
中には
「犬は芸などを覚えるから頭が良い。猫は芸を覚えないから頭が良くない。」
と考える方もいらっしゃるかも知れません。
しかし、犬と猫が芸を覚える・覚えないの違いは、単純な「頭が良い、悪い」の差ではありません。
この違いは、野生での犬と猫の生活様式や習性に関連していることなのです。
犬の仲間は、基本的にはリーダーを頂点とする「群れ」を作り、集団で生活しています。
集団で敵と戦ったり、獲物を捕えたりするためには、群れの結束が重要です。
その集団をまとめるリーダーに従うことは、犬にとっては「生きるか死ぬか」という問題にさえ直結することでした。
そのため、人に飼い慣らされた現代でも、「犬」はリーダーである飼い主に従順に従います。
飼い主と一緒であれば、犬は旅行や引っ越しも大きなストレスにはなりません。
犬が芸を覚えやすい理由も、このような習性から考えれば、ごく自然なことです。
一方、猫の場合はライオンなどの一部の種を除き、複雑な地形の森などで、単独生活を送る生き物でした。
現在もヒマラヤのユキヒョウのように、断崖絶壁で暮らすような種もいますが、そのような険しい地形では、単独行動の方が生活がしやすかったのです。
野良猫にも「ボス猫」がいる場合がありますが、犬のリーダーのように「絶対に服従しなければ個々の生死に関わる」というほどの力があるわけではなく、ただ「他の猫より少し力がある」といった程度の存在です。
従って猫の場合、「ボスに絶対的に従う」という概念がないため、犬のように芸を教えるのが難しいのです。
猫に芸を覚えさせるには
このような理由から、猫には犬と同じ要領で芸を覚えさせるのは、極めて困難と言えるでしょう。
しかし、「猫には絶対に芸を教えられない」というわけではありません。
ロシアには、「猫のサーカス団」があります。
猫達が綱渡りをしたり、玉乗りをしたり、2本足で立ってスケートボードに乗ったりと可愛らしい姿を見せて、国内外で人気となっています。
このように猫に芸を教えるためには、猫の習性をよく理解することが大切です。
○餌を使って教える
猫は、リーダーの言うことには従いません。
ただ、自分の生活のために必要だと判断したことは、容易に覚えます。
例えば、飼い主の行動を見て、部屋の扉のドアノブを引いたり、障子を開けることができるようになる猫もいます。
そこで、「お手」を教えるなら、「お手」と言いながら猫の前足を持ち、言うとおりにできたら餌を一口あげるなど、
「これをやれば餌がもらえる=猫にとって都合が良いことだ」
と教える方法があります。
○楽しんで覚えさせる
また、猫に芸を教えるには
「遊びの延長線上で、楽しんで行う」
ということも大切です。
猫は飼い主の言うことではなく、自分の都合を優先します。
ですから、できないからと言って叱ったり、叩いたりすると、二度と芸をしてくれなくなってしまいます。
猫は怒られても、何に対して怒られているのかが分かりません。
そのため「攻撃されている」と勘違いして、飼い主に対して反撃してくることもあり得ます。
人間だけでなく、猫にとっても楽しい「遊びの延長」で、できなくても怒らず、根気よく訓練を行っていきましょう。
まとめ
このように、猫に芸を教えるためには、犬とは違ったやり方が必要です。
また、しつけと同様に、できるだけ小さい子猫のうちから教えた方が、容易に色々なことを覚えてくれます。
愛猫と一緒に、楽しい毎日を送っていくことが、何よりも大切です。
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