【獣医師監修】アメリカンカールの寿命は?平均年齢や長生きの秘訣について解説

ネコのケア

アメリカンカールは、その名のとおりカールした耳が特徴です。
成猫になっても子猫のように活発で甘えん坊な性格から「猫界のピーターパン」という愛称でも親しまれています。

この記事では、アメリカンカールの寿命や長生きの秘訣について解説します。

アメリカンカールの寿命や特徴について

アメリカンカールとは?

アメリカンカールのルーツは、1981年、米国カリフォルニア州で見つかった耳全体が後ろに反り返っていた黒い子猫から始まりました。
その猫が半年後に出産した4匹の子猫のうち、2匹が母猫と同様に耳がカールしていたのです。

その独特な形の耳が注目され、1983年にアメリカンカールの本格的なブリーディングがスタートしました。
4年後の1987年に品種として公認されて現在に至ります。

なお、アメリカンカールの特徴である反った耳は、突然変異によって耳介軟骨が変形したもので、この耳の形は遺伝疾患を伴わないといわれています

アメリカンカールの平均寿命

アニコム白書2022によるとアメリカンカールの平均寿命は14.8歳です。
同データから比較すると他の猫種よりも比較的寿命が長い傾向があります。

アメリカンカールの身体的特徴

アメリカンカールは、丸い顔と大きな目、後ろにカールした耳が特徴です。
ただし、全ての個体の耳がカールするのではなくその確率は50%だといわれており、反り方や反る角度にも個性があります。

体格はオスが3kg~4.5kg、雌が2.5~3.5kg、被毛の色とパターンは非常に豊富で、長毛種も短毛種も存在します。

被毛は柔らかく、抜け毛の量が少なめでお手入れは比較的簡単です。

反り返った耳の形状から、細菌や真菌の増殖を起こしやすいため外耳炎には注意が必要ですが、遺伝性疾患も比較的少なく丈夫な猫種です。

アメリカンカールの健康管理と病気の予防

適切な食生活

猫は肉食動物で、もともとは小動物を捕食していました。
そのため、消化管は短くタンパク質の要求量も多いという特徴があります。

適切な食生活とは、猫の身体に合った総合栄養食と新鮮なお水が中心の食事です。
ドライフードだけでは水分不足になりやすいので、ウエットフードを併用するとよいでしょう。

なお、100%手作りの食事を猫に与える場合は、リンとカルシウムのバランスや必要なビタミンの不足などが懸念されるので、動物栄養学を学んでから実践することをおすすめします。

運動の必要性

健康で長生きするためには、食事の管理と共にある程度の運動も必要です。

フードの置き場所を工夫するなど自然に運動ができるような環境を作ることやおもちゃを使って一緒に遊ぶなど、愛猫が少しでも身体を動かして生活できるように心がけましょう。

定期的な健康チェック

猫は、人間よりも早く歳を取ります。
健康的な生活を送るためには、定期的な健康チェックは必須です。

最低でも年に1回は血液検査・尿検査などの健康診断を受けましょう。

アメリカンカールの長生きの秘訣

アメリカンカールに関わらず猫が長生きするための秘訣は、病気にさせないように予防に努めることで、その中でも基本となるのは体重管理です。

肥満に注意する

肥満は、下部尿路疾患、変形性関節症や糖尿病などのリスクを高め、猫の生活の質を下げる原因となります。

さらに、肥満が猫に与える影響は、「飼い主と遊びたいのに太って動くのがしんどい」「上下運動ができなくなる」など猫にとって精神的なストレスにまで及ぶともいわれています。

愛猫が心身共に元気で過ごすためにも、フードやおやつなど猫に与える食事の一日量を量ってその中から与える等食事管理を徹底することが大切です。

混合ワクチン接種について

病気の予防の一つに混合ワクチン接種があります。

混合ワクチン接種は、母猫からの移行抗体が減ってくる生後2ヶ月以上の子猫の時期に約1ヶ月間隔で2回のワクチン接種が推奨されています。
その後は、1年に1回のワクチン接種を行う場合が一般的です。

なお、WSAVA(世界小動物獣医師会;World Small Animal Veterinary
Association)のワクチネーションガイドラインでは、定期的にペットホテルを利用する猫や多頭飼育や室内と屋外を行き来する猫は1年に1回のワクチン接種が必要であるが、コアワクチン(猫伝染性鼻気管炎・カリシウイルス感染症・猫汎白血球減少症)は3年に1回、ノンコアワクチン(上記3つ以外の猫白血病ウイルス・猫免疫不全ウイルス・クラミジア感染症など)は地理的要因や環境、ライフスタイルによって、感染症のリスクが生じる動物にのみ必要だという記載があります。

このガイドラインを受けて、ワクチン接種のプログラムについては各病院によって対応が分かれるというのが正直なところです。

なお、参考までにわたしも完全室内飼いで猫を飼っていますが、動物病院勤務で色々な状況のペットの診察をするため、年に1回3種混合ワクチン(上記でいうところのコアワクチンにあたります)を接種しています。

参考:世界小動物獣医師会 犬と猫のワクチネーションガイドライン
https://wsava.org/wp-content/uploads/2020/01/WSAVA-vaccination-guidelines-2015-Japanese.pdf

アメリカンカールの飼育のコツ

アメリカンカールは、好奇心旺盛で遊ぶのが大好きな活動的な猫種です。
運動量も多いため、猫が行動できるスペースをしっかり確保することが理想です。

おおらかな性格の個体が多く、多頭飼育にも向いている猫種ですが、飼い主と一緒に遊びたがる猫も多いため猫との時間を確保することも大切です。

猫は早朝と夕暮れが最も活動的になるため、猫の気分がのりやすい時間帯で1回の時間を短く回数を分けて遊ぶ方法がおすすめです。
同じおもちゃや遊びを繰り返すと猫が飽きてしまうため、おもちゃは3種類くらいを用意するのもよいでしょう。

また、キャットタワー等を設置するなど猫がひとりでも落ち着いて過ごせる場所を作ることも、猫がストレスを溜めない工夫のひとつです。

猫の性格に合わせて試行錯誤してみましょう。

年齢別の変化・特徴とかかりやすい病気

アメリカンカールの年齢別の変化・特徴と、かかりやすい病気を年齢別にまとめました。

子猫期(0~1歳)

多くの猫にとって、生活環境が大きく変わる時期です。
特に生後2か月前後は母猫からの移行抗体が減少してくる時期で、免疫が不安定になります。
この時期は、ワクチン接種を受けて感染症を予防することを心がけましょう。

また、猫は生後6ヶ月前後で性成熟を迎えます。

<避妊・去勢手術のタイミング>

猫は生後6か月前後で性成熟するためその時期に合わせて手術を行います。
アメリカでは生後6週令~14週令の早期の不妊去勢手術が行われることがあり、早期不妊手術による安全性や合併症のリスクは通常の時期(生後6か月程度)と比較しても大きな差がないといわれています。

しかし、わたしの勤務先では尿スプレー(マーキング)などの問題行動が出ない限り、ワクチンで十分な免疫を得て身体がしっかり成長する生後6か月以降の手術をおすすめしています。

なお、不妊去勢手術後は太りやすくなる傾向があるため注意しましょう。

<上部気道感染症(猫風邪)>

くしゃみ、鼻水、発熱、目やになど人間の風邪の様な症状が見られ、原因はヘルペスウイルス、カリシウイルス、クラミジアなどの感染です。
治療は点眼薬や点鼻薬、インターフェロンの投与などを行います。

一旦症状がおさまっても再発する場合や、流涙や鼻づまりなどの症状が治らないケースもあります。

<消化器疾患>

消化器疾患とは食道や胃、腸など消化器系の病気のことです。
子猫の時期に特に多いのは下痢や嘔吐、そして異物誤飲です。
特に飼い始めたばかりの子猫の時期は、環境の変化によるストレスや、寄生虫の感染などによる下痢が多く見られます。

異物の誤飲を防ぐためには、誤飲しそうなおもちゃなどを置きっぱなしにしないことが一番の対策です。
いたずら好きな猫の場合には、留守番はケージに入れる様にする等工夫しましょう。

<猫伝染性腹膜炎>

猫伝染性腹膜炎は1歳未満のオスの子猫に発症しやすいと言われています。
ある統計では、理由は不明ですが雑種より純血種での発生が多いという結果で、わたしの臨床経験上でも同じように純血種の猫に多い印象があります。

猫伝染性腹膜炎ウイルスは、ほとんどのイエネコが感染していると言われる猫腸コロナウイルスが突然変異してできたと言われています。

症状は食欲元気の低下、発熱、体重減少が見られ、腹水や胸水が貯まるウエットタイプとブドウ膜炎、肝臓や腎機能が低下し神経症状がみられるドライタイプの二つのタイプがあります。

この病気は、どちらのタイプも非常に治療の反応が悪く、残念なことに予後不良の場合がほとんどです。

成猫期(1歳~7歳)

比較的元気で病気になりにくい時期ですが、前述のとおり肥満に気をつける必要があります。
また、若いうちからブラッシングやご自宅での歯磨きなどのケアを習慣にすることも大切です。

<外耳炎>

外耳炎は猫種に関わらず、比較的多い疾患です。
原因はマラセチア菌という常在菌の増殖や細菌感染、耳ダニなどの外部寄生虫、過剰な耳のケアなど様々です。

アメリカンカールは耳の形状から、外耳炎になりやすい上に、耳介の軟骨が硬く非常に耳垢がたまりやすい傾向があります。

誤った耳のケアはさらに外耳炎を悪化させることがあるため、耳のケアは動物病院で指導を受けてから行いましょう。

<下部尿路疾患>

下部尿路疾患とは、膀胱と尿道の病気のことで、特に多いのは特発性膀胱炎です。
しかし、下部尿路疾患は、尿石症や尿路感染症、腫瘍などが原因であっても頻尿や排尿困難、血尿などの同じような症状がみられるので、何が原因なのかを調べることが大切です。

また、尿道が閉塞している場合は、命に関わるのでなるべく早く治療する必要があります。

シニア期(7歳~)

健康上のトラブルが増えてくる時期です。
普段の愛猫の様子をよく観察し、少なくとも年に1回は健康診断を受けることをおすすめします。

<慢性腎臓病>

シニア期の猫が最もかかりやすい病気の一つです。
症状は多飲多尿、食欲不振、毛並みが悪くなる、痩せてくるなどで、この様な症状が見られた時には腎臓の機能の7割近くがダメージを受けている状況です。
そして、壊れてしまった腎臓の細胞は元通りに再生させることはできません。

治療は、内服薬の投薬や食餌療法、輸液療法などで、残った腎臓の機能をなるべく良い状態に維持することを目的として行います。

<甲状腺機能亢進症>

シニア期の猫に多い内分泌疾患です。
原因は、甲状腺過形成、甲状腺濾胞腺腫、甲状腺癌で、甲状腺の機能が亢進しすぎることで、異常に食欲が旺盛になり、その割には体重が減少していきます。

鳴き声が大きくなる、昼夜に関わらず良く鳴くなどの症状が見られたらこの病気を疑います。

診断は、触診や血液検査を行い、甲状腺ホルモンの値を確認します。brr
治療は、食事療法や甲状腺の働きを止める内服薬の投薬を行う内科療法か、甲状腺の摘出手術を行う外科療法を行います。

【獣医師のアドバイス】アメリカンカールの長寿の秘訣

アメリカンカールは比較的丈夫な猫種ですが、元気で長生きするためには、適切な食生活、適度な運動や遊び、定期的な健康チェックが非常に大切です。

また、猫と日々生活している飼い主さまにしかできない「愛猫の異常に早く気づく」ことが、病気の早期発見と治療に繋がります。

以下の7つのポイントを意識して毎日愛猫の様子をチェックし、いつもと違うと思ったら早めに動物病院を受診しましょう。

  • 食欲の有無の確認
  • 排尿や排便の状態(特に排尿は毎日しているかチェックする)
  • 飲水量の変化
  • 体重の増減
  • 歩様・動き方の変化
  • 口腔内を見る(粘膜の色や歯の状態)
  • 身体に触れて腫れや出来物等がないかをチェックする

なお、特に注意したいのは、排尿の確認です。
最近は、システムトイレや自動トイレを使用している飼い主さまが増えています。

実際に自動トイレを使用していて排尿の確認があいまいになり、愛猫の尿が出なくなっていたことに気づかず、病気の発見が遅れたという例がありました。
毎日愛猫がきちんと排尿しているかどうかを確認する習慣をつけましょう。

ペット保険の選び方

ペットには、人間の様な公的な健康保険制度はありません。
そのため、動物病院での治療費の負担は全額自己負担です。

状況によっては手術や長期間の通院、治療が必要になる場合や、それに伴いペットの医療費も高額になる可能性があります。

何かあった時のための備えとしてペットのためにご自身で備えるという方法もありますが、突然のケガや病気など予想もしなかった事態に備えておくための選択肢の一つとして、ペット保険があります。

ペット保険とは、保険料をペット保険会社に支払うことで、飼い主が動物病院に支払う医療費の一部をペット保険会社が補償してくれるサービスです。

現在、多くのペット保険会社がありますが、保険会社や契約プランにより、保険料や補償の内容等は異なります。
自分とペットにあった保険を選ぶには、情報を集めて比較検討をすることが大切です。

どんな補償内容が必要かは人によって異なりますが、ここではペット保険の選び方のポイントについてお伝えします。

ペット保険選びのポイント

ペット保険を選ぶポイントは以下の3つです。

  • 保険料
  • 補償内容の違い
  • 加入時の年齢

<保険料>

一般的に、補償内容が多ければ多いほど、さらにペットの年齢に比例して保険料は高くなります。
実際に支払う保険料は、月額500円~1万円くらいまでとかなり差があります。

どの補償内容が必要なのか検討し、保険料とのバランスを考えて決めましょう。

<補償内容>

補償内容は、手術のみ補償するプラン、通院も含め手術や入院も補償するプランなどいろいろなプランがあり、補償割合も30%~90%などがあります。

保険料とのバランスもありますが、「万が一の事態に備え高額になりがちなペットの治療費の負担を軽くし、さらに通院のハードルが下がる」という意味では通院と手術・入院を補償するプランがおすすめです。

<加入時の年齢>

ペット保険は、ペットの年齢が高ければ高いほど保険料が高くなるのが一般的で、ある程度の年齢になると加入できないプランもあります。

反対に、シニア専用の保険やシニアになっても継続できるペット保険もあります。

現在、猫の平均寿命は約15歳で、年々伸びていく傾向があります。
歳を重ねると病気になりやすくなるため、シニアになっても使い続けられるペット保険をおすすめします。

保険会社によっては動物病院での支払い時に補償額を差し引いて窓口精算できる(対応可能動物病院のみ)ペット保険や、医療やしつけについて獣医師に24時間無料電話相談ができるサービスが付帯しているペット保険もあります。

初めて猫を飼う方には、この様な相談ができる付帯サービスがあるペット保険がおすすめです。

なお、ペット保険は病気やケガのために備える目的のものなので、ワクチンや不妊・去勢手術、ノミ・マダニなどの予防に関するものや保険加入前に発症している病気や先天性疾患に関しては補償の対象外なので注意しましょう。

大熊 真穂

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現在複数の動物病院で臨床獣医師として勤務しながら専門知識や経験を活かして各種メディアや個人サイトでライターとして情報を発信している。 ▼ドリトルけいのいぬね...

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