正しい猫のブラッシング

ネコのケア

猫のブラッシングは必要?

いつも自分の体をなめて毛づくろいしている猫ですが、人間の手でブラッシングすることも必要です。
その理由を見てみましょう。

毛球症を防ぐため

猫のブラッシングを行うと、普段はあまり見ることのない毛の細部や、猫の地肌をよく観察することができます。
猫は自分の舌で体の被毛をなめて、毛づくろいを行います。
猫の舌はざらざらしているので、ブラシの役割を果たすにはもってこいです。
しかしその構造のせいで、舐めた毛の一部が舌に絡み取られ、そのまま飲み込まれてしまうこともよくあるのです。
毛は食べ物ではありませんので、消化されることはありません。
飲み込んだ毛は便の一部として排出されますが、ときに胃の中で飲み込まれた毛が絡み合い、大きな「毛球」になってしまうことがあります。
この毛球が胃や腸の健康に影響を及ぼすのが、毛球症です。
毛球症になると嘔吐を繰り返したり、腸閉塞になってしまうこともあります。
毛球症を防ぐためには、飼い主がブラッシングで猫の余分な毛を取り除いてあげることが大事なのです。

皮膚と被毛の健康チェックのため

ブラッシングは、飼い主が猫の被毛や皮膚を観察する良い機会です。
ブラシで毛をかき分けると、普段の生活では分からない被毛の中の状態について知ることができます。
ノミやダニなど寄生虫がいないか、皮膚炎になっていないか、どこかケガをしていないかなどをブラッシングしながらチェックしていきましょう。

ブラッシング中、異常を発見したら

猫をブラッシングしていて、異常に気が付いたら早めに動物病院を受診してください。
特に皮膚炎は猫がかかりやすい病気です。
万が一の場合に医療費の備えをしておきたいなら、ペット保険への加入を検討してみてください。
ただし、ノミやダニの駆除に関しては、ペット保険での支払い対象外の場合も多いです。
あらかじめ、保険会社の補償範囲を確かめておきましょう。

猫との信頼関係を深めるため

猫を多頭飼いした経験のある人なら、猫同士で毛づくろいをしあう光景を見たことがあるかもしれません。
猫にとってブラッシングはコミュニケーション手段の1つです。
家族や仲間間で行う毛づくろいは愛情や信頼関係を構築するという意味があります。
これは飼い主と猫の場合も同様で、ブラッシングは猫とのスキンシップを行うことに繋がります。
きもちのよいブラッシングで、猫との信頼関係を深めてください。

ブラシの種類

ブラッシングのための道具には、様々なものがあります。

ラバーブラシ

ラバーブラシは、ゴム(シリコン)製の素材でできた柔らかいブラシです。
素材の摩擦力を利用して、ブラッシングを行うことができます。
さらに、猫へのマッサージ効果も期待できます。
短毛種の猫に対するブラッシングなら、ラバーブラシがぴったりです。
また、ブラッシングで毛を引っ張られた、皮膚が引っかかれたという経験からブラッシングが苦手になっている猫にもラバーブラシはお勧めです。
突起が柔らかいラバーブラシなら、皮膚への刺激も優しく、猫が痛がる可能性も少なくなります。

ピンブラシ

ピンブラシは、人間が使うヘアブラシのような土台にピンが植え付けられているブラッシング道具です。
体全体の絡んだ毛をほぐすのに使えます。
ピンとピンの間は広めに間隔があけられており、猫への刺激を軽減してくれる構造になっています。
ピンの先が丸い商品を選ぶと、猫の皮膚を傷つけずにブラッシングすることが可能です。
ピンブラシは、長毛種にも短毛種にも使うことができます。

スリッカーブラシ

スリッカーブラシは、長方形の土台に細かい「くの字型」のピンがびっしり植え付けられているブラシです。
ピンブラシに比べピンが細く、ピンの隙間が狭いのが特徴です。
長毛種のもつれた毛玉をしっかりとかすことができるスリッカーブラシですが、ピンの先が細い分、刺激も大きくなります。
先端がとがっているものもあり、乱暴にブラッシングすると、猫の皮膚を傷つけブラッシング嫌いにしてしまう可能性があります。
スリッカーブラシを扱うときは、少しづつ、優しく毛をほぐしていくのがポイントです。

コーム

コームは被毛を整えるのに使える道具です。顔やおなか周り等の部分的なブラッシングにも利用できます。
短毛種、長毛種どちらを飼っている場合にも使えるブラシです。
上下に目の粗い櫛と細い櫛がついているコームを選ぶと、用途に合わせて使い分けられて便利です。

獣毛ブラシ

獣毛ブラシは豚やイノシシの毛でできており、ほこりや抜け毛を取るのに使えます。
ブラシには水分と油分が含まれているため、静電気を防ぐ効果や毛に艶を与える効果が期待できます。
他のブラシでブラッシングを終えた後は、獣毛部ブラシで仕上げをしてみてはどうでしょうか。

猫のブラッシングの頻度

猫のブラッシングの頻度は、目的によって異なります。

スキンシップ目的の場合

信頼関係構築、スキンシップを目的としたブラッシングなら、毎日続けて行うとよいでしょう。
とはいえ、毎回しっかりブラッシングを行う必要はありません。
ブラッシングをやりすぎると、生えている毛まで抜いてしまいます。
同じ場所を繰り返しブラッシングすることは避け、軽いブラッシングで終われば大丈夫です。

毛球症予防の場合

猫の毛は、換毛期といわれる3月と11月頃によく抜けるようになります。
この時期には長毛種なら毎日、短毛種なら一週間に2~3回程度を目安にブラッシングすると毛球症予防につながります。
ただし、猫の抜け毛の量には個体差があります。
例えば室内で飼われている猫の中には、季節の変化を捉えることができず、換毛期以外でも抜け毛がひどい子もいます。
猫の抜け毛の状態を観察し、量が多い時には定期的にブラッシングをすることが必要です。

猫のブラッシング方法やポイント

猫のブラッシング方法

具体的なブラッシングの手順を紹介します。
①猫を落ち着かせます。
②頭の後ろから背中にかけて、ブラッシングしていきます。
③お尻のブラッシングは、できるだけ力をかけずに優しく行います。
④片足を持ち上げ、脇の下から後ろ脚までブラシをかけます。
⑤首周りから胸元の毛をとかします。
⑥尻尾に手を添えて(にぎってはいけません)、一息でブラッシングします。
⑦リラックスしている状態が続くようなら、脇の下からお腹周りの毛をとかしていきます。
膝の上で抱っこした状態で行うとやりやすいです。
※人手がある場合は、1人が抱き上げ、もう一人がブラッシングをすると良いでしょう。

ブラッシングのポイント

短時間のブラッシングからスタートする

最初にブラッシングに挑戦するときは、最初から体中をきれいにしようと考えないようにしましょう。
まずは数分程度のブラッシングを体の部位ごとにおこなっていくようにします。
ブラッシングに慣れてきたら、時間を少しずつ長くしていけばよいのです。

比較的触りやすい場所から始める

猫には人間に触れられても比較的気にしない場所と、できるだけ触れられたくない敏感な場所があります。
ブラッシングを行う際は、いきなり敏感な場所から行うのはよくありません。
触りやすい場所から、徐々に敏感な場所に移動していくのがブラッシングのポイントです。
例えば後頭部、首回り、顎の下は猫が触らせてくれやすい部分ですから、スタート場所としては最適です。
逆に、お尻、尻尾、お腹、足先は触られるのが嫌な部分なので、ブラッシングは慎重に行いましょう。

「イヤ」のサインをみのがさない

ブラッシングが苦手な猫には、無理強いをしないようにしましょう。
ブラッシングに恐怖感を持っている猫には、まずは櫛でブラッシングをし、少しずつブラシに移行していくようにしてみてください。
大人しくブラッシングをさせてくれる猫でも、時間がたつと長時間同じ姿勢でいるのにイライラしてくることもあります。
尻尾をパタパタ動かしだしたり、体が硬くなってきたと感じたら不満が貯まってきている証拠です。
また、日によってブラッシングを嫌がる子もいます。
猫が「イヤ」のサインを出したらブラッシングを終了し、次の機会を待つようにしてください。

petofuku編集部

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