仁義なき女の戦い!?バイト先のニャンコ先輩にはとてもかないません!
毎日ご飯を食べて昼寝して、のんびりほのぼのと暮らしているように見える猫。
しかし彼らは、自分と周りの仲間との間に存在する「上下関係」を、実に厳しくジャッジしています。
それは、私達人間に対しても例外ではありません。
勤務初日から、ニャンコ先輩の厳しい仕打ちは始まった
もう何年前になるでしょうか?
筆者がアルバイトをしていた洋服屋には、看板猫を務めるメス猫の「猫店長」がいました。
この猫を、今回のコラムでは「ニャンコ先輩」と呼ぶことにしましょう。
ニャンコ先輩はスタッフみんなのアイドル的存在で、お客さんにも大人気でした。
しかしさすがは猫のこと、周りの人間を大変よく見て、自分との上下関係を決めていたのでした。
筆者がアルバイトとして初めて出勤した日のこと。
店鋪事務所のドアを開けた途端に、小さな猫が1匹、ものすごいスピードで外へ飛び出し、近くの排水溝の入口へ飛び込みました。
事務所に猫がいるという話は既に聞いていましたが、その猫が外へ出していい猫なのかどうかも全く分からず、困り果てる筆者。
猫は小さな身体を排水溝にぴったりとはめたまま、じっとこちらを見ていました。
そこへ先輩スタッフが出勤してきて、猫は捕獲され、おとなしく事務所へ連れ戻されていきました。
それが、筆者とニャンコ先輩との第1日目でした。
思えばこの日から、筆者とニャンコ先輩の力関係は、既に決まっていたのです。
ニャンコ先輩、それはパワハラじゃないですかっ!?
ニャンコ先輩は、いつもお店の丸い椅子にリードで繋がれて「看板猫」の仕事をしていました。
彼女はいつもおとなしく座っていて、通行人が「かわいい猫ちゃんね」「おりこうさんね」と撫でていくこともしばしばでした。
筆者の自宅にも猫がいますが、こんなに長時間おとなしく座ってなどいられません。
それに知らない人を警戒して簡単には触らせないので、猫によって性格も様々なのだなと感心していました。
しかしこのニャンコ先輩は、他のスタッフやお客さんがいなくなって筆者と2人きり(?)になると、態度を豹変させました。
レジ台の上に跳び乗り、レジ前に陳列してあるヘアゴムやアクセサリーなどの小物にじゃれ付いて全部床に落としてしまうことなど、日常茶飯事でした。
時にはニャンコ先輩が開店前の洋服のストック場の奥に逃げ込み、捕まえられないこともありました。
「ニャンコ先輩、捕まえといてね」と言い残して事務所へ戻っていく先輩スタッフの声を背後に聞きながら、筆者とニャンコ先輩の睨み合いが続きました。
そして事務所に用があって行った時に、事務所内にニャンコ先輩がいると、これまた大変!
彼女は毎回、筆者の開けたドアの隙間から部屋の外へ逃走しました。
もはや「ニャンコ先輩、私にだけそんなことをするなんて・・・それはパワハラじゃないですか!?」と思わずにはいられません。
カワイイから許してしまう筆者。完敗・・・
そんなニャンコ先輩の厳しい「後輩へのパワハラ指導(?)」は、筆者の退職の日まで続きました。
それでも筆者は、ニャンコ先輩のかわいさにいつも負け、反抗することができませんでした。
完敗です!
猫社会では、例えば同じ家に飼われている猫同士でも順位ができていることがあるといいます。
それは猫と人間でも同じで、ニャンコ先輩から見たら新しく入ってきた筆者は「自分よりも順位が下」という認識だったのでしょう。
ニャンコ先輩はその後、退職したスタッフの家に引き取られていったとのこと。
現在も幸せに暮らしていることは、間違いないでしょう。
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