腎臓病はペット保険で補償対象?

イヌの病気・ケガ

腎臓病ってどんな病気?

腎臓病は腎臓の機能が衰え、最終的には機能しなくなってしまう病気です。
加齢とともに発症しやすくなり、特に高齢の猫によく見られます。
目に見える初期症状はほとんど現れず、飼い主が気が付いたときには腎臓の機能がかなり低下してしまっている場合が多いです。

症状

ペットの腎臓病には大きく分けて「急性腎臓病」と「慢性腎臓病」があります。
急性腎臓病では急激に嘔吐や排尿困難などの症状が現れます。
急性腎臓病は犬猫どちらにもみられる病気です。
対して、慢性腎臓病はゆっくり進行していきます。慢性腎臓病は猫に発症例が多いです。
腎臓病は初期に目に見える症状があらわれません。
慢性腎臓病の症状として飼い主が最初に気が付きやすいのは、水をよく飲むようになり、尿の量が増える「多飲多尿」です。
「多飲多尿」の症状がみられた時点ですでに腎臓の機能がかなり低下してしまっています。
初期の腎臓病は尿検査で発見することができますので、かかりつけの動物病院で定期的な検査を行うことが大切です。
慢性腎臓病が進行すると、食欲が落ちたり、脱水症状を起こしたり、嘔吐するようになります。
さらに症状が進むと、治療無しでは生命を維持することが困難になってきます。

原因

急性腎臓病の場合、腎毒性のある食品や薬物を食べてしまう、尿結石が出来ているなど様々な原因で発症します。
発症原因を取り除くことができれば、完治の希望もあります。
一方、慢性腎不全の場合は原因が明確になっていません。
腎臓にダメージを与える様々な疾患により、少しずつ組織が破壊されていくのではないかといわれています。
慢性腎臓病の発症率は年齢が進むにつれて高くなり、とくに15歳以上の高齢猫では約30%が慢性腎臓病を発症するといわれています。

腎臓病の治療法・治療費

腎臓症の治療費や治療方法について以下にまとめてみました。
※急性腎臓病の場合、原因によって治療方法は様々です。ここでは慢性腎臓病について取り上げています
これは一般的な治療例ですが、実際の料金は動物の種類や症状の重さ、治療方法によって異なります。
具体的な数字が知りたい場合は、かかりつけの動物病院に問い合わせてみましょう。

[一般的な治療モデル]

治療内容 食事療法、皮下補液、静脈輸液
治療費合計 約7,000~12,000円

ダメージを受けた腎臓が元の状態に戻ることはないので、腎臓病の治療は症状の進行を遅らせたり、嘔吐や脱水の症状を抑えることがメインになります。
腎臓病の進行を遅らせるカギが食事療法です。
腎臓病の犬や猫は不要なリンを上手に排出できないため、リンを体にため込んでしまいます。これが腎臓病を悪化させる原因になります。
療法食ではリンの摂取量を制限して、腎臓への負担を軽減します。
療法食を食べた場合には、腎臓病のペットの寿命が3倍も伸びたというデータもあります。
なお、犬の場合は腎臓病の進行具合によってリンとともにたんぱく質を減らす場合がありますが、猫は必要なたんぱく質量が多いため、療法食でもたんぱく質を制限することはありません。
腎臓病により脱水を起こしていると、症状を悪化させることに繋がります。
脱水症状を緩和させるために行うのが、皮下補液や静脈輸液です。
皮下輸液の場合、ペットの背中に針を指して輸液剤を投入します。
比較的短い時間で処置が終わるため、通院や自宅でも可能な治療法です。
ただし血管に直接輸液を入れるわけではないので、効果は緩やかにしか現れません。
また、脱水症状が進んでいる場合はうまく輸液が吸収されない場合もあります。
それに対し、静脈輸液は静脈に針を刺して輸液を直接血管に投与します。
輸液量が調整でき、効果が表れるのも早いですが、処置に時間がかかるので入院が必要になります。
腎臓病での通院回数は1年に平均15回程度となっており、頻繁に病院に通わなくてはなりません。
入院が必要になる場合もあります。1回当たりの治療費も高いので、治療費の総額が心配ですね。こんな時に心強いのがペット保険です。
プランの内容にもよりますが、ペット保険ではおおむね治療費の5~7割を負担してくれます。
ペット保険に加入していれば飼い主の出費をぐっと抑えることができます。
ただし、腎臓病対策としてペット保険に加入する際には注意しなければならないことがあります。
ペット保険に加入する場合、申し込み時に病歴のチェックが行われるのが一般的です。
一度腎臓病にかかってしまうと、後からペット保険に加入しても補償対象外になってしまったり、そもそも保険に加入できなくなってしまったりすることがあります。
腎臓病は一度かかったことがあれば、ペット保険の契約ができない可能性が高い病気です。
既往病の扱いはペット保険会社によって対応が異なりますが、できるだけ健康なうちにペット保険への加入を検討することが大切です。

腎臓病の予防法

腎臓病を予防するために大切なのは、腎臓に負担をかけない食生活をさせることです。
総合栄養食を利用し、ペットが良質な栄養が摂れるようにします。
また、おやつに含まれている成分にも注意し、おやつをあげすぎないようにしましょう。
ただし、腎臓病用の療法食を腎臓病予防に与えるのは厳禁です。
療法食は獣医師の指示に従ったうえで与えてください。
歯の健康に気を付けることも大事です。
歯周病になると、細菌が体の中に広がり、腎臓にもダメージを与えます。
歯磨きの習慣をつけて歯周病を予防することが、腎臓病予防につながります。
水をよく飲む環境を整えてあげることも、腎臓にとって良い影響があります。
猫は普段水をあまり飲まない動物ですが、濃い尿は腎臓に負担をかけてしまいます。
水飲み場を増やしたり、ウェットフードを与えたりして水分不足を防ぐ工夫で腎臓病を予防しましょう。
慢性腎臓病になってしまうと、腎臓の機能を元に戻すことはできません。
尿検査で早期に腎臓病を発見し、早めに治療をすることが飼い主ができる一番の進行予防策です。
慢性腎臓病は初期段階では目に見える症状が現れず、飼い主が自分で発症に気が付くのはとても難しいです。
かかりつけの動物病院で定期的な尿検査を受けるようにしましょう。
また、普段からペットの水の飲み方や排尿量を観察し、「多飲多尿」の症状がみられないかに気を配って下さい。

腎臓病はペット保険で補償されるか

腎臓病が補償対象になっているかどうかはペット保険によって変わります。
基本的には補償対象となっていることが多いですが、加入時は各ペット保険会社のサイトや資料ページを比較検討し、腎臓症について補償されていることを確認しましょう。
中には一度腎臓病を発症すると保険の更新時に腎臓病を補償対象外にするなどの条件が付く、というようなパターンもあるので要注意です。
よく分からない時は、保険会社の窓口に問い合わせてみると安心です。
また、ペット保険の多くは健康食品、医薬部外品の料金をサポートしていません。健康なペットの病気予防費用も補償対象外です。
例えば腎臓病治療中の療法食であっても医薬品でない場合は、補償対象外になります。
加えて腎臓病を発症してからあわててペット保険に加入しようとしても、保険金が支払われない場合がほとんどであることを覚えておきましょう。
補償可能となる期間は、保険会社によって様々です。
中には、保険料が払い込まれていない段階で発症した病気は補償対象外というものもあります。
ペット保険の基本は「ペット保険に加入してからの病気や怪我で、かつペット自身に症状が現れてから補償対象になる」というものです。
病気になったり怪我をしたりする前のほうが、ペット保険に加入するメリットが大きいのです。
保険金が必要になってから加入し、補償を受けるというのは基本的にできません。
もし現段階でペット保険への加入を検討している場合には、早めに手続きをするようにしましょう。

petofuku編集部

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